令和8年度 税制改正大綱ー法人会の税制改正提言ー
中小企業の少額減価償却資産は40万円まで拡充!
特例継承計画の提出期限も延長される!
政府は、令和7年12月26日に令和8年度税制改正大綱を閣讃決定いたしました。
法人会が提言していた、中小企業に対する少額減価償却資産の特例措置については、取得価格要件が40万円未満に引き上げられ、特例承継計画の提出期限も緩和されました。インボイス制度導入に伴う免税事業者や小規模事業者に対する経過措置も緩和されることになりました。主な内容をお知らせします。
法人税関係
■少額減価償却資産の特例小企業者等の軽減税率の延長
中小企業者等の少額減価償却資産について、減価償却資産の取得価額は30万円末満から40万円未満に引き上げられれます。
■特定生産性向上設備等投資促進税制の創設
生産等設備を構成する機械装置、エ具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウエアで、特定生産性向上設備等に該当するものを取得等した場合に、即時償却又は税額控除が選択適用できます。(※取得価額の合計が中小企業で5億円以上)
■賃上げ税制中小企業経営強化税制の延長
①大企業向け 令和8年3月31日で廃止されます。
②中堅企業向け常時使用する従業員の数が2,000人以下である法人向けの措置は、適用期限である令和9年3月31日で廃止されます。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度については、適用条件となる継続雇用者比較給与等支給額の増加割合を3%から4%に引上げ、税額控除率の上乗せは、増加割合5%以上の場合こ5%の加算、増加割合6%以上の場合には15%の加算とされます。また、教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止されます。
③中小企業向け教育訓練費に係る上乗せ措置は、廃止されます。
所得税・住民税関係
■基礎控除等の改正
①基礎控除及ひ給与所得控除
基礎控除104万円と給与所得控除74万円を合わせて、給与所得者であれば収入178万円までは、所得税がかか
らなくなりました。収入金額に応じた畢礎控除は次のとおりです。
| 給与収入 | 基礎控除 |
|---|---|
| 665万円以下 | 104万円 |
| 850万円以下 | 67万円 |
| 2,545万円以下 | 62万円 |
| 2,595万円以下 | 48万円 |
| 2,645万円以下 | 32万円 |
| 2,695万円以下 | 16万円 |
| 2,695万円超 | ー |
②同一生計配偶者及び扶養親族の所得要件同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額の要件が、現行の58万円以下から62万円以下に引き上げられます。
③ひとり親控除
ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件が、現行の58万円以下から62万円以下に引き上げられます。
④勤労学生控除
勤労学生の合計所得金額要件が、現行の85万円以下から89万円以下に引き上げられます。
いずれも、令和8年分の所得税から適用になります。
■住宅ローン減税
住宅ローン減税について、適用期限が令和12年12月31日までと5年間延長になります。概要については次のとおりです。
①認定住宅等の新築
| 住宅の区分 | 居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
|---|---|---|---|---|
| 認定住宅 | 令和8年~令和12年 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | |||
| 省エネ基準適合住宅 | 令和8年・令和9年 | 2,000万円 |
②認定住宅等である既存住宅
| 住宅の区分 | 居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
|---|---|---|---|---|
| 認定住宅 | 令和8年~令和12年 | 3,500万円 | 0.7% | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | ||||
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 |
③買取再販住宅・既存住宅の取得・住宅の増改築
| 居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 令和8年~令和12年 | 2,000万円 | 0.7% | 10年 |
なお、年齢40歳未満で配偶者を有する者、年齢40歳以上であっても年齢40歳未満の配偶者を有する者、年齢19歳未満の扶養親族を有する者には、借入限度額の上乗せ措圏があります。また、床面積が402m以上502m未満である居住用家屋についても住宅ローン減税の適用ができることとされます。ただし、控除期間のうち合計所得金額が1,000万円を超える年については、達用されません。
■子どもNISA
NISA口座の開設可能年齢の下限が撤廃されます。年間の投資額が60万まで、累計で600万円まで利用可能です。以前のジュニアNISAが18歳まで引き出すことができなかったことと比較すると、子どもが12歳以上になった場合に、教育費などに充てることが可能です。
■暗号資産の譲渡に分離課税が適用
暗号資産取引業を行う者に対して暗号資産の譲渡等をした場合に、その譲渡等による譲渡所得等について、他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率により課税されます。また、譲渡損失が生じた場合に3年以内の繰越控除が認められます。金融商品取引法の改正法が施行された日の属する年の翌年の1月1日以後に行われる暗号資産の譲渡等について適用されます。
■私募債の分離課税適用の厳格化
同族会社の役員等が、その同族会社以外の法人が発行した社債の利子で、実質的にその同族会社から支払を受けるものと認められる場合の利子を、総合課税の対象とします。令和8年4月1日以後に支払いを受けるべき利子から適用されます。
■ミニマムタックス課税の強化
特定の基準所得金額の課税の特例について、特例対象者が、徊人でその者のその年分の基準所得金額が3億3,
000万円から1億6,500万円を超える者に引き下げられます。さらに税率が22.5%から30%に引き上げられます。令和9年分以後の所得税について適用されます。
■青色申告特別控除について
その年分の車業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、雷子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の保存等を行っていること、との要件を満たす場合、控除額が65万円から75万円に引き上げられます。また、10万円の青色申告特別控除の対象者から、簡易な簿記の方法により記録している前々年の年収1,000万円を超える事業者が除外されます。令和9年分以後の所得税に適用されます。
■通勤のために自動車など交通用具を使用する場合の非課税限度額
通勤距離が片道65km以上の者の1月当たりの非課税限度額が次のように引き上げられます。また、一定の要件を満たす駐車場等を利用している場合の1月当たりの非課税限度額は、その通勤距離の区分に応じた非課税限度額に1月当たりの当該駐車場等の料金相当額(上限は5,000円)を加算した金額となります。
| 現行 | 改正案 | ||
|---|---|---|---|
| 通勤距離の区分 | 非課税限度額 | 通勤距離の区分 | 非課税限度額 |
| 片道55km以上 | 38,700円 | 片道55km以上65km未満 | 38,700円 |
| 片道65km以上75km未満 | 45,700円 | ||
| 片道75km以上85km未満 | 52,700円 | ||
| 片道85km以上95km未満 | 59,600円 | ||
| 片道95km以上 | 66,400円 | ||
■食事の支給による経済的利益
食事の支給により受ける経済的利益について非課税限度額が月額3,500円から月額7,500円に引き上げられます。また、深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭について非課税とされる1回の支給額が300
円以下から650円以下に引き上げられます。
相続税・贈与税関係
■教育資金の一括贈与の非課税制度の廃止
1500万円までの教育資金の一括贈与制度について、令和8年3月31日までとされている取扱いは延長せずに終
了することなります。
■事業承継税制の承継計画の提出期限の延長
個人の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、個人事業承継計画の提出期限を2年6月延長して、令和10年9月末までとなります。また、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度について、特例承継計画の提出期限を1年6月延長して、令和9年9月末までとなります。
資産税関係
■貸付用不動産の評価
①被相続人等が課税時期前5年以内に取得した一定の貸付用不動産は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価されます。
②不動産の小口化商品の対象とされている貸付用不動産については、その取得の時期にかかわらず、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価されます。
消費税関係
■国境を越えた電子商取引
①少額免税の廃止
従来は1万円以下の貨物については、関税と消費税が免除されていましたが、通信販売の方法で海外から国内に宛てて発送される貨物については、1万円以下の譲渡について、消費税の課税対象になります。
②物販に係るプラットフオーム課税の導入
大手通販サイトなど、指定を受けたプラットフオーム事業者を介してその対価を収受する場合は、プラットフォーム事業者が資産の譲渡等を行ったものとみなされます。
③特定少額資産販売事業者の登録制度
通信販売で、海外から国内宛に発送される一の資産の対価の額が税抜き1万円以下であるものの譲渡を行う事業者は、所轄する税務署長に特定少額資産販売事業者として登録を受けることができます。登録事業者は、事業者免税点制度が適用されません。令和10年4月1日以後適用されます。
■インボイス制度の経過措置関係
①個人事業者向けの3割特例個人事業者でインボイス登録により車業者免税点制度を受けられない令和9年・令和10年に含まれる各課税期間について、仕入税額控除の額を課税標準額に対する消費税額に7割を乗じた額とし、納付税額をその課税標準額に対する消費税額の3割とすることができます。
②インボイスがない場合の経過措置
インボイスがない場合でも、税額相当額の80%を税額控除できる経過措置について、令和8年10月から50%に変更される予定でしたが、次のとおり緩和されます。
| 期間 | 控除割合 |
| 令和8年10月1日から令和10年9月30日まで | 70% |
| 令和10年10月1日から令和12年9月30日まで | 50% |
| 令和12年10月1日から令和13年9月30日まで | 30% |
③免税事業者である一業者からの多額の仕入
一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額が事業年度で1億円(現行10億円)を超える場合に、その超えた部分の課税仕入れについて、経過措置による課税仕入れを認めないこととします。令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
その他
■固定資産税
償却資産に係る免税点が150万円から180万円に引き上げられます。令和9年度以後の年度分の固定資産税について適用されます。
■防衛特別所得税
防衛特別所得税が創設されます。納税義務者は所得税の納税義務者です。所得税の源泉徴収義務者は、防衛特別所得税についても徴収して納付する必要があります。防衛特別所得税額は、その年分の基準所得税額に1%の税率を乗じて計算した金額となります。防衛特別所得税の課税期間は令和9年以後の当分の閻とされています。
■軽油取引税の暫定税率
軽油引取税の暫定税率については、令和8年4月1日に廃止されます。
■ふるさと納税関係
ふるさと納税の控除限度額が、個人住民税所得割額の2割と193万円のいずれか低い金額となります。令和10
年度分の個人住民税について適用されます。
☆記事内容についてのお問合せは…
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税理士 飯田 聡一郎
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